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ぱと隊長日誌

ブログ運用もエンジニアとしての生き方も模索中

PDM (プレシデンス・ダイアグラム法)のスケジュール計算における制約の影響

マネジメント

はじめに

PDM(プレシデンス・ダイアグラム法)のスケジュール計算(フォワード・パス、バックワード・パス)において、アクティビティに対する制約を考慮する必要があります。本エントリでは例を挙げてその説明を行います。

本エントリでは以下のエントリをベースに説明しています。
ADM(アロー・ダイアグラム法)及びPDM (プレシデンス・ダイアグラム法)におけるタイミングとフロートの計算方法 - ぱと隊長日誌

また、資料として"Basic CPM Calculations"を参照しています。
http://www.mosaicprojects.com.au/PDF/Schedule_Calculations.pdf

アクティビティの制約とスケジュール計算への影響

アクティビティに対する制約の例を以下に挙げます。ツールによっては他にも設定可能な制約があります。

  • できるだけ早く (As-Soon-As-Possible Constraints)
  • できるだけ遅く (As-Late-As-Possible Constraints)
  • 指定日に開始/終了 (Fixed Constraints)
  • 指定日以降に開始 (Start-No-Earlier-Than Constraints)
  • 指定日までに終了 (Finish-No-Later-Than Constraints)

スケジュール計算と制約の種類によって制約の影響が異なります。詳細は資料"Basic CPM Calculations"の"Constraints"を参照ください。

制約とネガティブ・フロート(マイナス値のトータル・フロート)の関係

スケジュール計算で制約の影響を受けて、トータル・フロートが負数(マイナス)になる例を説明します。

以下のアクティビティを例に考えます。

  • 所要期間(Duration)が5日間
  • 最早開始時刻(EST)が10日
  • 12日までに終了(Finish-No-Later-Than Constraints)の制約がある

フォワード・パスの計算における"Finish-No-Later-Than Constraints"の影響は以下の通りです。

  • The Forward Pass on preceding activities is not affected.
  • The Forward Pass EFT on the activity starts from the fixed date or from the analysed dates, whichever is earlier (this is tool dependent).

出典:Basic CPM Calculations

ここではツールが最早終了時刻(EFT)の決定で制約より計算を優先するものとします。
アクティビティの最早開始時刻(EST)を10日とすると、最早終了時刻(EFT)は14日となります。
EFT = EST + (d - 1) = 10 + (5 - 1) = 14

バックワード・パスの計算における"Finish-No-Later-Than Constraints"の影響は以下の通りです。

  • The Backward pass on successor activities is not affected.
  • The Backward pass LFT on the activity starts from the fixed date or from the analysed dates, whichever is earlier.

出典:Basic CPM Calculations

最遅終了時刻(LFT)は制約もしくは計算結果のいずれか早いほうとなります。今回の場合は「12日までに終了」の制約がありますので、最遅終了時刻(LFT)は12日とします。

トータル・フロート(TF)は以下の式で計算します。
TF = LFT - EFT = 12 - 14 = -2

このように、フォワード・パスで計算したスケジュールが制約を守れない場合にネガティブ・フロートが発生します。

PMBOKガイドとの対応

アクティビティの制約とスケジュール計算の影響について、PMBOKガイド 第5版でも触れられています。

CPMクリティカル・パスは、通常、クリティカル・パスにおけるトータル・フロートがゼロであることが特徴である。PDM順序設定で実施されるように、クリティカル・パスのトータル・フロートは、適用される制約条件により値がプラス、ゼロあるいはマイナスとなる。クリティカル・パス上のアクティビティは、いずれもクリティカル・パス・アクティビティと呼ばれる。プラス値のトータル・フロートは、往路時間計算において計算された最早終了日よりもスケジュールの制約条件から算出された復路時間計算における終了日が遅いという際に発生する。マイナス値のトータル・フロートは、最遅の開始日と終了日における制約条件を所要期間と論理によって逸脱した場合に生じる。
出典:プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版

まとめ

PDM (プレシデンス・ダイアグラム法)のスケジュール計算(フォワード・パス、バックワード・パス)において、アクティビティに対する制約を考慮する必要があります。

クリティカル・パス上のアクティビティのトータル・フロートはゼロである、と説明されることがありますが、これはアクティビティの制約を考慮しない場合に成り立ちます。制約を考慮する場合、アクティビティのトータル・フロートはプラス、ゼロあるいはマイナスとなります。

マイナス値のトータル・フロートは制約条件の逸脱を示しています。トータル・フロートがゼロもしくはプラスの値を持つように、以下の調整を行う必要があります。

  • アクティビティ所要期間の調整(資源の追加投入やスコープ縮小など)
  • アクティビティ順序関係の調整
  • リード、ラグ、制約条件の調整

参考文献・資料

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)