ぱと隊長日誌

ブログ運用もエンジニアとしての生き方も模索中

マンガのファンレターを出す過程と考えたこと

はじめに

先日、人生で初めてマンガの著者にファンレターを送ってみました。

オッサンが何をやっているの…と思う方もいるでしょうが、何事も経験ですし、チャレンジするのに性別も年齢制限もありません。やってよかったです。

せっかくチャレンジしたのですから、その過程と考えたことを記録としてまとめておくことにしました。

きっかけ

今回、私がファンレターを出した相手は『聲の形』の著者である 大今 良時 さんでした。

ファンレターを出すきっかけになったのは、コミック版の『聲の形』を読んで、その内容に心打たれ、作品に出合えたことの感謝の気持ちを伝えたいと考えたからでした。そして Twitter でたびたび見かける『自分の好きな作品の作家にはその想いを伝えるべきだ』という言葉でした。

心打たれる作品に出合い、Twitter の言葉に背中を押され、ファンレターを出すことにしました。

葛藤

初めてのことにチャレンジする時は足がすくみます。やっぱりやめようかな…と何度も頭をよぎりました。今回もそんな葛藤がありました。そこで、どんな葛藤があり、答えを見出したかをQA形式でまとめてみます。

Q1.

年甲斐もなくファンレターを出すの?

A1.

感謝の気持ちを伝えるのに年齢も性別も関係ありません。

例えば、自分のブログにポジティブな感想をもらえるなら、相手が老若男女問わずうれしいです。相手の心に響き、少しでもお役に立てたことがうれしいのです。それと同じだろうと考えました。

Q2.

人気作品なんだからファンレターはわんさか来ているに違いない。それでも出す価値があるのか?

A2.

ファンレターがわんさかくれば1通当たりの喜びは薄れるかもしれません。でも、その価値が無価値になることはありません。

また、喜んでもらえるかどうかは受け取り手が決めることです。私が勝手に卑下する必要もないでしょう。喜んでもらえる内容になるように精一杯尽くすだけです。

Q3.

作品が発表されてから何年も経っている。今さらファンレターを出すのか?

A3.

イムリーに出せればベストでしたが、時間が経過したからといって価値がなくなるものではないと考えました。

Q4.

今書くべきなのか?私がやるべきこと・やりたいことは他にもいっぱいあるのに?

A4.

書こうと思い立ったその気持ちと勢いを大事にすることにしました。

その時の気持ちはその時に書くのが気持ちを一番込められるし、後回しにして書かないままで後悔したくなかったのです。

ステップ

ファンレターを送るまでのステップをまとめました。

(1) ファンレターの送り方・マナーを調べる

なにせファンレターを送るのは初めてなものですから、関係される全ての方(著者・編集部の方・郵便局員の方…)に失礼があってはならないと考え、まずは下調べから始めました。

マンガの場合、ファンレターの宛先は一般的に奥付に記載のある発行所住所+編集部+宛名(著者)のようです。
今回のケースであれば以下のとおりとなります。
〒112-8001
東京都文京区音羽2-12-21 講談社 週刊少年マガジン編集部気付 大今先生

ファンレターにおけるマナーについて、いくつかの記事に目を通しましたが、結局のところ通常の手紙と大差ありませんでした。相手へ敬意を払うことに尽きます。

(2) 相手を理解する

著者のことは作品を通じてしか知りません。触れるべきでない話題や注意すべき点が無いか、ネットでオープンになっている情報を頭に入れました。Wikipediaは裏付けのある情報が多いため、重宝しました。

ちなみに大今さんが女性であることを知ったのはこのタイミングでした(ペンネームから男性だと思い込んでいました)。用意した便箋や切手がふさわしいかを見直したり、文章により注意を払いました。

(3) 下書きを書く

相手に敬意を払うこと以外にも、以下の点で気を遣いました。

返信を求めない

文章から返信を求める気持ちが伝わらないように注意を払いました。

返信をもらいたい気持ちはありつつも、受け手側の負担が大きくなることを避けたかったからです。例えば、経済的合理性(私が購入したことによって発生する印税 vs 返信する手間)だけを考えても、返信を求めることはあまりに不合理すぎます。また、受け手が返信しなければいいだけという考えに対しては、求められていながら断らなければならない心理的負担を押し付けることになると考えました。

ネットでは返信を求めないと伝えるために差出人の住所を不完全(途中までで切る)にすることを提唱している方もいましたが、これはやりすぎでしょう。もし本当に返信が不要であれば本文に書けばいいことです。また、郵便局が何かの都合で差出人へ戻さなければいけないときに困ってしまいます。

文章量をなるべく抑える

伝えたいことはいくらでも書けますが、読み手への負担を考えてなるべく短くすることにしました。

今回はこんな構成にしました。

  1. あいさつ
  2. 手に取ったきっかけ
  3. 繰り返し読んでどう感じたか
  4. 全体を通してどう感じたか
  5. 締めのあいさつ

清書段階で文章をさらにそぎ落としたのですが、もっと減らしても良かったかもな…と反省しています。

応援はするが作品への批判はしない

プロの作品に対して単なる一読者が批判するのは、プロ野球の試合を見ながら素人がヤジを飛ばすようなものです。作品のなぜこうしたのだろう?と思うような点にも著者及び編集者側の意図が込められているのかもしれない、そしてそれに私が気が付いていないだけかもしれない、と考えました。というわけで、ファンレターでは応援に徹しました。

ネガティブなことは書かない

相手にとって有益でない情報は書かないようにしました。例えば自己紹介で「オッサンからファンレターをもらってもうれしくないかもしれませんが」なんてことは書きません。私がオッサンだと知ったからといって、受け取り手は反応に困るだけで何も得ないからです。

(4) 清書・投函

私は悪筆なのですが、それでもできうる限り丁寧に仕上げました。

郵便料金のチェックは念入りに行いました。料金不足で返送されるならまだ良いのですが、不足分を宛先の編集部側に支払わせるようなことがあってはならないからです。

「真夜中のラブレター」にならないよう、一晩おいて冷静になってから投函しました。

まとめ

「いつかやろう」と思っていたことを実現できて良かったです。今さら遅すぎるとか恥ずかしいとか自分に言い訳してやらないでいたら、きっといつまでも心の片隅でくすぶり続けていたに違いないからです。

これからも素敵な作品に出合えた時は感謝の気持ちを伝えていきます。