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ぱと隊長日誌

ブログ運用もエンジニアとしての生き方も模索中

PMBOK活用法(もしくはPMBOKが教えてくれること・教えてくれないこと)

PMBOKを実務でどのように活用できるのか。また、PMBOKだけでは足りないことは何か。といったことを説明していきます。
PMBOKガイド第5版を参照しています。また、参照した章番号を[PMBOK]で記載しています。ここではPMBOKガイドをPMBOKと略します。

PMBOKとは?

PMBOK ( Project Management Body of Knowledge ) とはプロジェクトマネジメント知識体系のこと。知識体系というとわかりづらいので、プロジェクトマネジメントのフレームワークもしくはガイドラインととらえたほうが分かりやすい。

PMBOKが教えてくれること

用語の定義

何かについて話し合うときは共通の用語の定義が必要となる。PMBOKはプロジェクトマネジメントにおける共通の用語を定義している。
例えば、「プログラム」という用語を聞いた時、ある方は「目標を達成するためにグループとしてマネジメントされるプロジェクトの集合の事だな」と考え、別の方は「ソフトウェアのコードの事だな」と考えるかもしれない。これでは話がかみ合わない。PMBOKはプロジェクトマネジメントにおける「プログラム」という用語を定義し、これを回避している。

[PMBOK 1.1]

プロセス

プロセスとはプロダクトやサービスを提供するために遂行される行動や活動の事を指す。プロジェクトは相互に関連を持つプロセスで構成されている。
プロセスはインプット(Inputs)、ツール(Tools)、技法(Techniques)、アウトプット(Outputs)で構成されている。これらの頭文字から"ITTO"と略することもある。
プロセスはインプットを受けて、ツール技法を駆使し、アウトプットを生成する。このアウトプットは別のプロセスのインプットとなることもある。

[PMBOK 3, X1.2]

参考例として「9.3 プロジェクト・チーム育成」のITTOを挙げる。

  • インプット
    • 人的資源マネジメント計画書
    • プロジェクト要員任命
    • 資源カレンダー
  • ツール技法
    • 人間関係のスキル
    • トレーニング
    • チーム形成活動
    • 行動規範
    • コロケーション
    • 表彰と報奨
    • 人事考課ツール
  • アウトプット
    • チームのパフォーマンス評価
    • 組織体の環境要因更新版

[PMBOK 9.3]

各プロセスはプロジェクトマネジメント・プロセス群と知識エリアのマトリックスマッピングされる。
プロジェクトマネジメント・プロセス群(あるいはプロセス群)はプロジェクトマネジメント・プロセスを5グループ(立上げ/計画/実行/監視・コントロール/終結)に分類したものである。
知識エリアは10分野(スコープ、タイム、コスト、品質、リスク等)によって分類したものである。PMBOKの章立ては知識エリアに対応している。

PMBOK第5版でのプロセスのマッピングは以下のエントリが参考になる。
PMな日々: PMBOK プロジェクトマネジメント・プロセス群と知識エリア

[PMBOK 3, 3.9]

プロセスやプロセス群、知識エリアはPMBOKの改訂で統廃合及び見直しを行われることがある。

[PMBOK X1]

チェックリスト

プロジェクトマネジメント・プロセス群とプロセスのマッピングを確認すれば、現在もしくはこの先のプロジェクトマネジメント・プロセスでどのようなプロセスを実施すべきかがわかる。

以前、@さんがPMBOKをチェックリストとして使うことについて触れていた。

PMBOKは備忘録。チェックリストとして使える。実際にプロジェクトマネジメントを経験してから読むと、その有用さがわかる。

「SIの現場で使えるチケット駆動開発」レポート - ぱと隊長日誌

PMBOKが教えてくれない(説明しない)こと

PMBOKはプロセスについてITTOのリストとその概要を説明するが、具体的な詳細には触れていない。

例えば、PMBOK「9.3.2.1 人間関係のスキル」は以下のように説明されている(一部抜粋)。

人間関係のスキルは、「ソフト・スキル」とも呼ばれ、コミュニケーション・スキル、感情的知性、コンフリクトの解消、交渉、影響力、チーム形成、グループ・ファシリテーション等の能力を含む振舞いのコンピテンシーのことである。

このスキルを身に着けるためにどうすればよいのか、何をすべきかまではPMBOKで触れていない。各自が調べ、学び、実践する必要がある。

PMBOKは単体で完結するものではない。プロセスのITTOを確認し、自身・メンバー・組織に足りていないスキルや経験をどのように補い、プロセスを実践するかを考えるきっかけとする。

PMBOKで注意すべき点

そのまま適用する必要はない(テーラリング)

PMBOKが想定しているプロジェクトの規模感はかなり大きい。公式な情報は見つからなかったが、これに触れているエントリがあったので引用する。

実はPMBOKが想定しているプロジェクトはかなり大規模です。
メンバー200~300人で3~5年かけて行う規模感を想定されていると言われています。

PMBOKをいくら学んでもそのまま実務には使えない!PMBOKを現場に活かす2つのポイント - coach4pmの中の人

私が受けたPMP講座でもPMBOKではプロジェクト規模(期間)として3~5年を想定しているとの説明があった。

これだけ大規模なプロジェクトを想定したプロジェクトマネジメント・プロセスをより小さいプロジェクトにそのまま適用しようとしても合わない。PMBOKをベースとしながら、プロジェクトに合ったプロジェクトマネジメント・プロセスを検討する必要がある。これをテーラリングと呼ぶ。

[PMBOK 3]

プロジェクト・ライフサイクルのフェーズとプロセス群を混同しない

プロジェクト・ライフサイクルのフェーズとプロセス群(立上げ/計画/実行/監視・コントロール/終結)は同じものではない。PMBOKではフェーズ毎に全てのプロセス群を繰り返すと想定している。実際にはプロジェクトの規模に応じてテーラリングを行うことになる。
とはいえ、フェーズとプロセス群は全く無関係というわけでもない。例えば、通常、計画フェーズで行われるプロセスは計画プロセス群に含まれる。なので、テーラリングの結果によってはフェーズとプロセス群が似通ってくることもある。

[PMBOK 3.2]

PMBOKガイド

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)

プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第5版 (A Guide to the Project Management Body of Knowledge)

PMBOKガイドは書籍版、Kindle版、PDF版がある。PDF版はPMI会員(年会費が必要)になることで無償ダウンロード可能となる。

おわりに

PMBOKが実務で使えないとよく聞きます。でも、全く使えないものがこれだけ世の中に普及しているわけがありません。このエントリがそうした誤解を解き、使い方のヒントとなれば幸いです。