ぱと隊長日誌

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MANABIYA「技術者としての成長のための技術トレンド」聴講メモ

はじめに

MANABIYA(【国内最大級のエンジニア向け技術祭典】MANABIYA -teratail Developer Days-)
2018/03/24(土)1時間目
技術者としての成長のための技術トレンド
スピーカー:及川 卓也 さん [エンジニアリング・プロダクトアドバイザー]
の聴講メモです。

メモは口頭説明を中心にまとめています。資料を併せてご参照ください。

【参考】としている個所は私が挿入しています(補足や参考資料など)。登壇者の講演内容ではありませんので、その旨ご了承ください。

何をやっている人か?

本当は技術・製品・組織を均等に取り組みたかったが、依頼される仕事は組織作りが多い。

経歴紹介を兼ねた自分史と技術トレンド

DEC時代

DECはUNIX/C言語/Ethernetといった重要な技術を開発していた。(及川さんの)入社当時はIBMに追いつけ追い越せの時代だった。

当時は第2次AIブーム真っ盛りで、DECもAI技術センターを作り、「ナレッジエンジニア養成コース」を開講していた。
この技術センターへの配属を希望したが叶わず、営業サポートに配属されることになった。そこで担当した製品はAll-IN-1、略してA1。AIとA1の表記は似ているけどそれじゃない感…。

DECがダウンサイジングのトレンドのきっかけを作った。

初期のWindowsはまともに使えず、バージョン3からようやく使い物になった。
昔、マイクロソフト製品はバージョン3から使い物になるといわれていたが、その言葉通りだった。

当時、パーソナルコンピュータやWindowsはおもちゃ扱いだった。

Windows NT の開発に日本からエンジニアを出してといわれ、参加することになった。

【参考】
この時点で及川さんはまだDEC社員でした。

日本DEC時代の後半は、同社が開発したRISCチップ「Alpha」向けのWindows NTの開発を手掛けていた。

グーグルでChrome開発に関わった及川卓也氏が「Qiita」開発元Incrementsの14人目の社員に | TechCrunch Japan

当時のDECは落ちぶれつつあり、起死回生を狙ってCPU(Alphaプロセッサー)開発に乗り出していた。だが、CPU開発に必要な投資額の大きさが致命傷となってしまった。

Windows Vista のライバルは Windows XP と言われていた。他社製品に敵はおらず、VistaからXPへ乗り換えてくれないことが最大の懸念とまで言われた。

マイクロソフト時代

カウンセラーやヘッドハンターからのアドバイスにより、Windowsしか知らないことに危機感を覚えた。そこで、GPKIやIPv6といった業界標準の技術に携わるようにした。

【参考】

日本マイクロソフト時代に感じたことです。ヘッドハンターに友だちを作るのが好きなんですが(笑)、自分に転職希望がない時でも年1回程度で情報交換をしています。ある時言っていただいた言葉が「Microsoftの技術が長いから、転職先はMicrosoftのパートナー企業が対象になる。可能性を広げるなら経営や営業、マーケティングはいかがですか」というものでした。自分は技術にこだわりたかったものの、Microsoft以外の技術って何だろうかと考えました。

1つの会社に縛られない方がいい--及川卓也氏が語る「看板を彩る生き方」 - (page 3) - CNET Japan

これはツイートしてほしくないのだが、Windows Live は失敗製品だった、と社員としてすら感じていた。

【参考】
ツイートしてほしくないとのことなので本記事にも載せないつもりでしたが、以前に別記事で取り上げられていました。

日本マイクロソフト社内を見渡すと、Windows Liveブランド製品をプッシュしていました。しかし、Windows以外の製品にあまり愛を感じられなかったこともあり、社員視点でも「これはダメだろう(笑)」と。

1つの会社に縛られない方がいい--及川卓也氏が語る「看板を彩る生き方」 - (page 2) - CNET Japan

自分自身がトレンドに乗れなかったとしても、その中にいて感じることができたことはよかった。

余談だが、入国審査では係員と雑談になることがある。そこで過去の経歴を聞かれ、DEC・マイクロソフトGoogleと渡り歩いたことを話すと、次はどこに行くんだ?と聞かれた。株でも買いたかったのかも(笑)。

インターネットを好きな人、自分より詳しい人は大勢いたが、みんなマイクロソフトが嫌いだった。でも自分は知っていることが強みになった。

エンジニアとしての成長とは

学習ループを回す

成長のためには知識のグラデーションの濃いところへシフトする(知っている ⇒ 使える ⇒ 使いこなせる)ことが必要となる。
そのためには学習が必要となる。でも、学習だけでは足りず、経験も必要となる。

学習 ⇒ 知識 ⇒ 経験という学習ループを回す。経験を通じた学習で技能になる。

巷のプログラミングスクールでの学習の問題点は勉強したことをそのあと実践(経験)につなげられないこと。

経験だけでは価値がない。経験は年数じゃない。その経験を活かして何をできるのか(技能)が大事だ。

経験から始めるのでななく、学習から始める。知らないことにはチャレンジできない。

(自然)言語学習を例にとって

通訳を雇うことは経済合理性を考えれば理にかなっている。
でも本当にそうなのか。エンジニアなら英語に触れなくてすむ環境にいることはリスクだ。
勉強しなくて良いと感じたら、目的への追求が足りないのでは、と考えてみる。

言語を知っていればそれを通じて学びやすい。これは言語間の距離、ドメインともいえる。複数の言語を学ぶのであれば、距離についても意識する必要がある。

成長戦略

成長には戦略が必要だ。

T字型人材になれ、とよく言われる。
ここでフルスタックとはTの上棒を太くすることに当たる。
Tの縦棒は軸(専門)に当たる。

(n次元幾何学的空間における容積を最大化する、のスライドを示し)軸となる技術とバツの軸は近すぎて強みにしづらい。点線の軸を選ぶ方がよい。空間における容積を最大化する。

この空間における容積を最大化するということについて、藤原和博さんがわかりやすく説明している。

【参考】
スライド中に示されている藤原さんの講演記事です。
年収1000万円から1億円を目指すための人生戦略 - ログミー

プロになる目安の1万時間は毎日3時間で10年かかる。仕事にすればもっと短くできる。

藤原さんはリクルートで営業とマネジメントを学んだ。次は校長になることで全く違う軸を得た。これにより、(n次元幾何学的空間の)空間を広げることができた。

距離が遠い・ベクトルの異なるドメインを選ぶことが大切。なぜなら、希少化につながるから。また、仕事で同じドメインの技術が要求されたとき、効率よく学べることになる。

トレンドの当たり外れは大事でない。トレンドは繰り返す。その時に活きてくる。

及川さんの転移学習の例。
最近はBlockchainに興味を持っているが、P2PPKIの経験があったので理解しやすい。
WindowsがベースにあったからChromeもスムーズに理解できた。

技術トレンドとエンジニアとしての成長

何に取り組むべきかは結局のところ気持ちが大事。興味を持ったらやろう。

仕事で必要ないなら必要にすれば良い。必ずしもできるわけではないが、そうあろうとする。仕事でやるために会社に提案するもよし、転職するもよし。

「外発的動機を持てるような環境を作る・移る」ことは英語の勉強でも一緒。(及川さんの場合)英語を使う部署に行き、英語での定例ミーティングを設定することで環境を作った。

メインフレームからみればミニコンやパソコンはおもちゃだった。でも、そうした「おもちゃ」レベルの技術に置き換えられていく。
これを破壊的イノベーションという。

【参考】
「破壊的イノベーション」の原典といえる本です。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

一番大事なことは、技術を好きだと思う気持ち。自分が興味を持てるかどうかだ。

おわりに

この講演の後に続く、まさに後編ともいえる 西尾 泰和 さんの講演資料もぜひ参照ください。併せて読むことで未来へ進む勇気をもらえるはずです。
西尾さんの講演の聴講メモを別エントリにまとめました。資料へのリンクもあります。
MANABIYA「エンジニアのための自分経営戦略」聴講メモ - ぱと隊長日誌