ぱと隊長日誌

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データベーススペシャリスト試験の午後問題の選び方

はじめに

データベーススペシャリスト試験は午後Ⅰで3問中2問、午後Ⅱで2問中1問を選択して解きます。ここでどの問題を選ぶかが合格の鍵となります。ですが、限られた試験時間で各問題の出題分野を正確に把握して選択することは困難です。

また、王道の勉強方法は過去問をひたすら解いて慣れることです。ですが、過去問の量は膨大で、追い込みの時期に全てをカバーすることはできません。

そこで、「問題番号」と「問題タイトル」から出題分野の傾向を推測できるか調べてみました。その結果、おおよそではありますが関係性が見えてきました。これにより、追い込みに使う過去問を絞り込むこともできます。

この手法が1つの指標として参考になれば幸いです。

データについて

出題分野の傾向(割合)については「令和02年 データベーススペシャリスト合格教本」を参考にしました。

この本では他にも様々なデータを用いて出題傾向の解析を行っています。本エントリでは別の視点(問題番号・問題タイトル)から解析を行いました。

問題タイトルは過去問題から引用しました。問題タイトルは問題番号に続けて記載されています。
(例)問1 データベースの設計に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。

午後Ⅰ

年度 問題番号 関数従属性図 関係代数演算 ER図 テーブル構造 SQL 索引 排他制御 バックアップ 問題タイトル
H24 問1 70% 30% データベースの基礎理論に関する~
H25 問1 70% 30% データベースの基礎理論に関する~
H26 問1 33% 33% 33% データベースの設計に関する~
H27 問1 50% 50% データベースの設計に関する~
H28 問1 30% 70% データベースの設計に関する~
H29 問1 50% 50% データベースの設計に関する~
H30 問1 50% 50% データベース設計に関する~
H31 問1 50% 50% データベース設計に関する~
H24 問2 30% 70% データベースの設計に関する~
H25 問2 30% 70% 受注管理システムのデータベース設計に関する~
H26 問2 33% 33% 33% データベースアクセスの同時実行制御に関する~
H27 問2 33% 33% 33% データベースの設計に関する~
H28 問2 30% 70% データベースの運用設計に関する~
H29 問2 30% 70% トランザクション排他制御に関する~
H30 問2 100% データベースでの制約の実装に関する~
H31 問2 70% 30% データベースでのトリガの実装に関する~
H24 問3 50% 50% データウェアハウスの設計・運用に関する~
H25 問3 33% 33% 33% SQLの設計及び性能に関する~
H26 問3 33% 33% 33% テーブルの設計及びSQLの設計に関する~
H27 問3 50% 50% バッチ処理の性能設計に関する~
H28 問3 30% 70% RDBMSのセキュリティに関する~
H29 問3 70% 30% テーブル及びSQLの設計に関する~
H30 問3 50% 50% 物理データベースの設計及び実装に関する~
H31 問3 17% 50% 17% 17% 部品表の設計及び処理に関する~

こうして俯瞰すると、問題番号と出題分野の傾向にはある程度相関がありそうです。

出題分野の傾向から開発フェーズと担当に結び付けてみました。

問題番号 開発フェーズ 担当
問1 概念設計 DA
問2 論理設計 SE
問3 物理設計 DBA

なお、開発フェーズと担当は下記の記事を参考にしました。
真のデータベースエンジニアを目指そう!:データベースエンジニアへの道(1)(1/3 ページ) - @IT
この記事の図1でシステム開発における「データ管理者(DA)」「システムエンジニア(SE)」「データベース管理者(DBA)」の位置付けを示しています。

問題番号と問題タイトルからは以下のことが読み取れます。

  • 「データベースの基礎理論」とあれば、関数従属性図と関係代数演算が中心となる。
  • 「データベースの設計」とあれば、ER図とテーブル構造が中心となる。
  • 排他制御」や「トリガ」のように中心的なテーマを明示していることもある。
  • これ以外のケースではSQLを中心とし、テーブル構造・索引・排他制御とのミックス問題になる。

午後Ⅱ

年度 問題番号 関係スキーマ 物理設計系 問題タイトル
H24 問1 ~データベース概念設計及び論理設計に関する~
H25 問1 ~データベース概念設計、テーブル設計及び新システムへのデータ移行設計に関する~
H26 問1 データベースの物理設計に関する~
H27 問1 データベースの物理設計に関する~
H28 問1 データベースの物理設計とデータ移行に関する~
H29 問1 データベースの設計、実装に関する~
H30 問1 データベース設計、実装に関する~
H31 問1 データベースの設計、実装に関する~
H24 問2 <データベース用語無し>
H25 問2 <データベース用語無し>
H26 問2 ~データベース設計に関する~
H27 問2 <データベース用語無し>
H28 問2 ~概念データモデリングに関する~
H29 問2 ~概念データモデリングに関する~
H30 問2 ~概念データモデリングに関する~
H31 問2 <データベース用語無し>

問題番号と出題分野の傾向は以下のとおりです。

問題番号 出題分野
問1 物理設計系
問2 関係スキーマ

問題番号と問題タイトルからは以下のことが読み取れます。

  • 「物理設計」もしくは「実装」とあれば物理設計系となる。
  • これ以外のケースでは関係スキーマ系となる。

まとめ

午後Ⅰが概念⇒論理⇒物理、午後Ⅱが物理⇒概念のように逆の出題順になっているのは、問題を先頭から確認することを想定し、受験者によって有利・不利を少しでもなくすための配慮なのかもしれません。

自分の得意分野が概念設計・物理設計のいずれかで、選ぶべき問題の大まかな指針が決まります。

得意分野 午後Ⅰ 午後Ⅱ
概念設計 問1,2 問2
物理設計 問2,3 問1

ただ、この判別方法は簡易的なものですし、出題傾向は変わることがあります。この判別方法を過信せず、いずれの問題も解けるように準備しておき、本番でどの問題を解くべきか悩んだ時のサイコロ代わりに活用ください。