ぱと隊長日誌

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JSTQB AL テストマネージャ 受験記録 (2019/8/24)

始めに

2019/8/24 に「JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level<テストマネージャ>試験」を受験してきました。

今回の試験に向けてどんな準備をしたのか。また、実際に受験してみての情報をまとめます。

現時点で合否は発表されていませんが、発表されたらその結果に関わらず追記したいと思います。ここまで語って不合格だったら恥ずかしいですが、それもまた貴重な体験で情報だと考えています。

(2019/10/16 追記)
残念ながら今回の試験は『不合格』でした。ただ、この結果に至った過程から学べることがあると思います。何が良かったか、何を改善すべきか、読み進めながら考えていただき、他山の石としていただければ嬉しいです。

略記について

本エントリ内では以下の略記を用います。教材については別途略記を定義しました。

略記 名称
FL Foundation Level
AL Advanced Level
TM テストマネージャ

教材と利用方法

JSTQB による Advanced Level 過去出題問題の解説セミナー資料

JSTQB認定テスト技術者資格-イベント-

略記:AL過去問セミナー

過去問題を例にシラバスとどのように対応しているかを解説しています。シラバスを読むためのモチベーションになるかも。
特にシナリオ問題の読み解き方は知っておくべきです。

Advanced Level シラバス 日本語版 テストマネージャ

JSTQB認定テスト技術者資格-シラバス(学習事項)・用語集-

略記:TMシラバス

私はシラバスを繰り返し通読しました。他の参考資料を読んだり、問題を解いてから読み直すと、新たな発見があるかもしれません。

単に読んで覚えるだけではシナリオ問題を解くことができません。シラバスを読みながら、自分の担当している(していた)プロジェクトではどうすべきかを考えながら読むのがお勧めです。

Advanced Level サンプル問題 日本語版 テストマネージャ

JSTQB認定テスト技術者資格-シラバス(学習事項)・用語集-

略記:TMサンプル問題

問題数は少ないですが、日本語版公式のサンプル問題なので解いておくべきです。
サンプル問題に掲載されているような欠陥マネジメントプロセスのダイアグラムが出題されました(実際はシナリオ問題でより複雑でした)。

スクエアリング・サービス テスティング中級コース(マネージャ編)

スクエアリングサービス

略記:スクエアTM問題集

テストマネージャ試験向けの日本語版の模擬試験サービスとしてはおそらく唯一となります。私は有料コース(スクエア・イータ)を利用しました。

TLS(HTTPS)でのサービス提供は行っていないということでしたので、セキュリティ面からアカウント登録に躊躇しましたが、やむを得ないと判断しました。当然のことながら、パスワードは固有のものを利用するなどしています。

アカウント登録時に名前と所属先の入力が必要となりますが、名前はニックネームで、所属先は「非公開」でも登録可能です。また、住所は省略可能です。

スマホ対応版(レスポンシブWEB)があり、通勤中にスマホで問題を解くのも快適でした。計算問題が数問あり、それを解くのに難儀するぐらいでしょうか。

問題毎に丁寧な解説が付いています。FL試験向けである「テスティング基礎コース」を終えてからマネージャ編に取り組むと、解説をより理解しやすいです。

Foundation Level シラバス 日本語版

JSTQB認定テスト技術者資格-シラバス(学習事項)・用語集-

略記:FLシラバス

FL合格から時間が経っている場合は読み直しておいた方がよいです。特に用語の定義は標準や現場によって異なるため、ISTQBがどのように定義しているかを再確認しておきましょう。

ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation

略記:FL教科書

私が利用したのは受験当時に最新版だった第3版です。第4版も出版予定ということなので、リンクを第4版にしています。
FL合格から時間が経ってしまったので、復習がてら問題を解き直しました。

スクエアリング・サービス テスティング基礎コース

スクエアリングサービス

略記:スクエアFL問題集

FL試験向けの模擬試験を提供しています。

無料コース(スクエア・テイスタ)でも132問提供されており、復習用途であれば十分なボリュームです。

ソフトウェア要求 第3版

ソフトウェア要求 第3版

ソフトウェア要求 第3版

略記:ソフトウェア要求

テストに限らず、マネジメントもしくはアナリストを志す方であれば、一度は読んでおくべき本です。

シラバスの参考文献に挙がっています。

曖昧性レビューでは多くの場合、一般的な要件の欠陥チェックリストを使用することにより、(テストベースの役割を果たす)要件の曖昧性を識別し除去する([Wiegers03]を参照)。

とありましたので、該当すると思われる「第17章 要求の妥当性確認」を読み直しました。

ビューティフルテスティング

略記:ビューティフルテスティング

紙版は古本でしか入手困難なようです。
PDF版であれば O'Reilly のページから購入可能です。
O'Reilly Japan - ビューティフルテスティング

シラバスの参考文献に挙がっています。

テストステークホルダに関する詳細は、[Goucher09]の第2章を参照されたい。

この記載に従い、第2章を読みました。

その他、利用してみたかった教材

TMシラバスの参考文献となっており、AL過去問セミナーでもお勧めされていた本として以下の3冊があります。

体系的ソフトウェアテスト入門

体系的ソフトウェアテスト入門

いずれも古本での入手しか困難です。TM試験に再挑戦することがあれば、購入して勉強し直したいと思います。

JSTQB Advanced Level 試験対策勉強会」より(非公式ではありますが)「JSTQB Advanced Level テストマネージャ問題集」が出版されています。PDF版を購入可能です。
【PDF】JSTQB Advanced Level テストマネージャ問題集 - JSTQB Advanced Level 非公式問題集 - BOOTH

勉強時間と進め方

勉強時間の測定にはStudyplusのスマホアプリを利用しました。
学習総合サイト Studyplus(スタディプラス)

2019/05 2019/06 2019/07 2019/08 小計
AL過去問セミナー 0.25h 0.25h 0.0h 0.25h 0.75h
TMシラバス 6.0h 1.5h 0.0h 9.0h 16.5h
スクエアTM問題集 12.0h 11.5h 11.0h 7.75h 42.25h (55.25h)
FLシラバス 0.0h 2.75h 1.5h 1.25h 5.5h
FL教科書 0.0h 0.0h 0.0h 3.0h 3.0h
スクエアFL問題集 0.0h 0.0h 0.0h 7.5h 7.5h (4.25h)
ソフトウェア要求 0.0h 0.0h 0.0h 0.75h 0.75h
ビューティフルテスティング 0.0h 0.0h 0.0h 0.5h 0.5h
小計 18.25h 16.0h 12.5h 30.0h 76.75h

※スクエアTM問題集及びスクエアFL問題集は「スクエアリング・サービス」サイトでの学習時間表示をカッコ内に示しています。
※TMサンプル問題に取り組んだ時間は短かったので、割愛しています。

まずはAL過去問セミナー資料を読み、出題形式とシラバスを読み解くポイントについて確認しました。

次に、TMシラバスを2回読むことから始めました。それと並行してスクエアTM問題集を解き進めました。TMシラバスはその後も繰り返し通読しましたし、スクエアTM問題集は全て解き終わっても繰り返し解きました。

スクエアTM問題集を一通り解き終えたあたりで、基礎を復習すべきだと感じて、FLシラバスを読み直しました。

受験当月になると、TMシラバスを読むこともスクエアTM問題集を解くことにも飽きてきてしまったので、FL教科書やスクエアFL問題集の問題を解いたり、TMシラバスの参考文献(ソフトウェア要求、ビューティフルテスティング)を読むなどしました。

受験1週間前からは基本に立ち戻るということで、TMシラバスを再度読み直しました。

解法テクニック

本節は今回の受験を通して考えた私個人の見解です。内容が正しいかの保証はありません。

本節で説明するのは出題形式に戸惑うことなく実力を発揮するためのテクニックであり、勉強をせずに小手先で解くためのテクニックではありません。また、勉強せずに解けるほど甘い試験ではありません。

JSTQBの問題用紙の持ち帰りを認めず、公開もしないというポリシー(JSTQB認定テスト技術者資格-FAQ-)を尊重し、本節をまとめています。このため、問題を改変したり、抽象的な表現にしていることをご了承ください。

解答ペース

私の場合、3時間の試験時間を使って2時間で一通り解き、1時間で見直し(半分程度で時間切れ)を行いました。見直しの中で回答を変更するものがいくつかあったことを考えると、ある程度は見直し時間を確保できるようなペースで解いた方が良いかもしれません。

計算問題は時間がかかります。計算で使うのは単純な四則演算ですが、焦っていると計算ミスでずれてしまうかもしれません。ぴったりと数字が合わなくても焦らず、正しい回答を推測して選ぶのもありだと思います。

問題の読み解き方

JSTQB認定テスト技術者資格のFAQには以下の記述があります。

JSTQBは、引っかけ問題のようなものを可能な限り排除し、きちんと理解していれば点数が取れるような問題を作成しております。

JSTQB認定テスト技術者資格-FAQ-

これは問題を深読みせず、説明された状況から答えを導けと言っているように思われます。

選択肢の説明だけを見ると、どれも正しそうに見えます。そんな時は問題文の情報(状況説明)だけから考えてどれが適切かを選ぶのがよさそうです。
(例1)アンケートに入力した内容が勝手に消えないことをテストせよ、と指示されている中で、入力内容を自分でクリア操作した後に消えたことを確認するテストが必要かは微妙です。通常であれば必須のテストですが、設問で要求されている範囲を超えているからです。
(例2)システムテストの状況報告としてどのような内容を含めるべきか?という設問に対し、ユニットテストに関する報告まで含めるべきかは慎重に考えてみる必要があります。システムテストの結果と関連が薄ければ省くべきかも知れません。

シナリオ問題の状況説明にも問題を解くためのヒントが隠されています。
(例3)リスクベースドテストで可能性・影響だけでは優先度を判断できない場合、その影響を受けるのはだれか?という観点で考えました。システムのターゲットとして重要視している方が影響を受けるのであれば、そのリスクの重要性評価はより高くなるかもしれないからです。
(例4)ソフトウェアのサポート期限が1年後に迫っており、新しいバージョンの開発を9カ月の計画で進めていたが、システムテストの段階で3カ月の遅れが発生していた、という状況であれば、システムテストの終了をこれ以上遅らせるような選択肢は除外できそうです。

選択肢の中にはその説明の一部だけ誤っているケースがあります。例えば、選択肢に「フェーズ内阻止率を評価し、各フェーズでの欠陥検出効率を下げる」とあったとして、「フェーズ内阻止率を評価」するのは正しくても、「欠陥検出効率を下げる」のは誤りなので、この選択肢を除外できます。実際にはこれほどわかりやすい誤りではなく、設問で示された状況と照らして選択肢の内容が適切かを判断します。

シナリオ問題は1つのシナリオに対して1問だけの場合と2問(次のページに記載されている)のことがありました。2問の場合でもシナリオが共通しているだけで、それぞれの問題につながりはありませんでした。

選択肢の選び方

優先度の高い順で並べろ、というような問題では以下のような選択肢を提示されることがあります。
a) A, B, C, D
b) A, B, D, C
c) B, A, C, D
d) B, A, D, C
このような場合は A, B 及び C, D のペアで順序を考えればよいので比較的解きやすいです。

ただ、以下のような選択肢を提示されることがあります。
a) A, B, C, D
b) A, C, D, B
c) B, C, A, D
d) A, D, B, C
このような場合は選択肢に含まれる隣り合わせのペアに注目し、明確な順位を付けられるか?というのを繰り返して絞り込むのが一つの手と思われます。
例えばA→Bの順に確信が持てれば、その逆順である選択肢cを除外できます。

レビューの改善案として適切な組み合わせを選択せよ、という問題で状況説明と併せて以下のような選択肢が提示されたとします。
① レビュアーを増やす
② レビュー時間を増やす
③ レビューのトレーニングを行う
④ レビュー手法を変更する
a) ②、③
b) ①、③
c) ①、④
d) ②、④
まずは設問で示された状況と照らして①~④で適切と思われるもの、不適切と思われるもの、判断しがたいものに分類します。これを踏まえて選択肢の組み合わせから適切と思われるものを選ぶ、という順で解くのがよかったです。

組み合わせの選択肢の絞り込み方はAL過去問セミナーの資料「ALTA過去問題解説」でも○△×で分類する例が取り上げられており、手法として妥当といえそうです。
http://jstqb.jp/dl/AL_Exam_Seminar_TA.pdf
P22 「K4 TA-3.2.11 解説 4/4」を参照ください。

出題の傾向

K3/K4レベルのシナリオ問題の合間にK2レベルの知識(理解)問題が出題される、というのが繰り返されていました。各レベルでの出題方式はAL過去問セミナーの資料「ALTM過去問題解説」を参照ください。

品質コスト(予防・評価・内部失敗・外部失敗)に関する計算問題が出題されていました。TMシラバスでは具体的な計算方法を解説していないため、AL過去問セミナーの資料「ALTM過去問題解説」を参考にするとよいです。

「スクエアリング・サービス」で出題された問題と似たもしくは参考にできた問題が数問ありました。

以下に挙げるような箇所は問題にもしやすそうなので、TMシラバスで確認しておくとよいかもしれません。

  • ソフトウェア開発モデルの特徴
    • TMシラバス 2.2.3 テスト活動とその他のライフサイクル活動の連携
  • テスト方法の特徴
  • テストプロセス改善モデルの特徴

受験時の注意点

※受験当時の情報なので、最新の情報は都度確認ください。

受験票には身分証明写真を貼る必要があります。忘れると受験できません。

試験中にマスクの着用は認められています。耳栓の使用は認められていません。

試験中にトイレへ行くことは可能です。ただし、注意事項には以下の記載があることにご注意ください。

試験開始10分前から試験開始後60分間は退室を禁止します。退室禁止時間内に退室した場合は、失格となります。また、終了5分前は退室できなくなります。トイレの場合も同様です。

夏の開催ということもあり、受験会場は冷房が効いていました。私が少し厚手の半袖シャツとハーフパンツでちょうど良いくらいでしたので、寒がりな方には寒く感じたかも知れません。念のため、羽織れるものを持参した方が無難です。

今回の受験を振り返って

試験とは無関係の勉強会に参加(+予習やまとめ)したり、家事・育児を通常通りこなす中で、まあまあ頑張って勉強時間を確保できたかなと思います。通勤時間や昼休みを活用しました。
詳細は以前にエントリに書いた内容とほぼ同じです。
幼い子供の育児と自分の勉強時間確保の両立 - ぱと隊長日誌

勉強に利用できる教材が通勤途中や育児の合間の隙間時間で使いやすいものであった(PDF・ウェブサイト・電子書籍が主だったので、スマホタブレットで閲覧できた)ことはありがたかったです。

問題集を繰り返し解きましたが、試験目前になっても間違えることがありました。ですが、苦手問題を繰り返し練習できて良かったと前向きに捉えることができました。

スクエアFL問題集に取り組むのが遅くなってしまいました。スクエアリング・サイトの問題集はFLを勉強してからTMに取り組んだ方が理解しやすかったように感じます。よって、スクエアFL問題集はもっと前から取り組むべきでした。

今回の私の合格可能性は60%ぐらいだと思います。サンプル問題を解いていたとはいえ、出題形式に戸惑ったことで難易度を高く感じました。設問を素直に読み解くのがコツと分かったので、次回があればもっと自信を持って取り組めると思います。

最後に

PMPを受験したときもそうだったように、単にシラバスを暗記するのではなく、その内容を踏まえて日々の業務にどう取り組んでいるのか、という経験が重要になると感じました。これが受験資格に業務経験が求められている理由だと思われます。

AL過去問セミナーの資料「解説セミナー Q&A」にも以下の記載があります。

ISTQBとしてもアドバンスレベルの技術者は実務経験が必要だと考えているため、受験資格に実務経験を入れています。K4レベルの現場経験を持った方が受験していただいているという認識です。

私の今後の目標として、まずは合否に関わらず、日々の業務に精進していきます。もし不合格であれば来年に再挑戦します。
また、テストアナリストへの挑戦も今後検討していきたいと考えています。

このエントリが皆様の合格への一助となれば幸いです。

そして最後にこれだけは伝えたい。受験当日は財布を忘れずに!

合否発表を受けて

冒頭に書いた通り、今回は『不合格』に終わりました。これを受けてつぶやいたことをまとめておきます。


西先生、待っててください!楽しみにしてますよー!

更新情報

2019/10/12

教材に「JSTQB Advanced Level テストマネージャ問題集」を追加しました。
また、教材の記載箇所を見直しました。

組み合わせの選択肢の選び方について説明を追加しました。

2019/10/16

試験結果と所感を追記しました。